2009年5月31日日曜日

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三



民俗学に高校時代から興味があり、折々に民俗学文献を読んできた自分にとって、本書を刊行後10年以上も読まなかったのは恥辱以外の何ものでもない。

宮本常一についてはともかく、本書に書かれた渋沢敬三の重層的な背景を知ったことは収穫だった。阪谷芳直を通して中江丑吉を知ったが、阪谷芳直は甥として敬三につながる。

2009年5月26日火曜日

アメリカの恐怖

大井玄さんの『「痴呆老人」は何を見ているか』で、恐ろしいと思ったのは、アメリカの姥捨て山事情だ。数年前の研究が明らかにしたのは、重度痴呆老人で、1%だけが6ヶ月以内に死亡すると予測された層が、ナーシングホームに入所してから71%が6ヶ月以内に死亡したという研究結果だ。これは、いかに痴呆老人介護の質が劣悪かを示す。日本で、同様の調査はないようだが、介護老人施設の平均在所日数は1600日というので、介護の質が全く違うのではないかと推測される。

この前段では、アメリカと日本での「痴呆」に関する認識の違いを明らかにしている。つまり、アメリカでは、「自立が失われるがゆえに痴呆を恐れる」のに対して、日本では、「周りに迷惑をかけるゆえに痴呆を恐れる」傾向があるのだ。卵か鶏かという問題があるが、アメリカでは自立と家族による擁護が失われるということは、死を意味する。

日本の医療問題も問題山積だろうが、アメリカの医療事情は先進国最悪かもしれない。GMの車1台に2000ドル以上の医療保険経費がかかっているとか、聞くとそれは事実だろうと思う。ボストン在住の悪友は、酒場で殴られて病院で一泊したら100万円請求されたと言っていた。で、マイケル・ムーアの「シッコ」になるのか。

2009年5月23日土曜日

吉本隆明1968



実は、敬愛する鹿島先生が「吉本主義者」であることを、恥ずかしくも知らなかったのだが、本書は30年ぐらい自分が考えていたことを補強しつつ、拡張してくれた。なぜ、吉本隆明を読まなければならないとずっと感じていて、実践してきたかを解き明かしてくれるような本だった。いわば、自分のゲノムを説いてくれるような本だったので、ありがたいことだと思った。

本書の観点から、吉本の諸作をいっかい読まないと、日本でまともにモノを考えるということは不可能だと思う。

痴呆による人間理解



本書は必読と思う。また、今後10年単位で読み返したいと思う。自分の呆けの進行とともに読むのは、現実的に理解が進むかもしれない。
自己認識については、木村敏や中井久夫から学んできたことを越える見識があるわけではないのだが、痴呆という状態が異常から語られるのではなく、正常から理解できる認識にしてくれる論理は得がたいものだ。その点で、痴呆は正常からの地続きの状況である。

意味的には会話になっていない、痴呆老人同士の会話が情緒的に意味があり、「心が通い合っている」ことを説く箇所には感心した。健常人であっても、そういう情緒的、非言語的コミュニケーションがいかに重要化ということも考えさせられた。

2009年5月15日金曜日

解雇権の濫用

池田信夫さんは、完全な自由解雇権を主張しているのかと思いきや、そうではないらしい。解雇権の濫用(=不当解雇?)を認めた(許さないというか)うえでの、解雇権の自由化らしい。

ただ、実際には、アメリカでは差別などを理由にした解雇以外は合法となり、雇用者はかなり強いようだ。いわゆる「2 weeks notice」。2週間前に申し入れるか、2週間分の給与を払えばいつでもクビにできる、というもの。被雇用者も2週間前に申し入れればいつでも辞められる。

自分が外資系企業1社の経験で思うのは、解雇権の自由を広く認めることは、やはり「不当」解雇の余地を大きく認めることになるということ。実際に見聞しているが、かなりの頻度で上司の勝手な意思で解雇が決められる。上司が傲慢になり、部下がbrown noseになる傾向がより強くなる。

ここで、その解決策は「解雇権濫用の規制」ではなくて、雇用環境の自由化(その強化)なのだが、それがうまく解雇権の自由化と歩調が合ってうまく行くようには思えない。希少価値があって市場価値のある人材の実割合、あるいはそうした人材のあり得べき比率というのは多くないだろう。多くは、雇用者が強いはずだからだ。

相対的な損得勘定(GDP的な)で言えば、アメリカのほうが日本よりよかったりするかもしれない。また、現行の日本にはまだ非生産的な人材を(とくに高年の)辞めさせられなくて、若年層を雇用できないような不合理があるかもしれない。でも、

池田さんの議論では、公文さんによる「不当解雇」はほぼ理解できるが(一管理職による、単なる恣意的な通告なので)、公文さんが形式的な手続きを踏んでいたら「有効」になっていた可能性がある、自由解雇を認める想定の下では。鞍馬天狗(中山素平)が飛んできて助けたとしても、それはたんに日本で美談となるだけで、アメリカならば最高顧問もグルならば合法となる。

池田さんは、整理解雇だけを規制緩和しようという主張だろうか。

そういえば、10数年前に六本木か麻布にあったグローコムに黒オヤジと呼ばれる上司と公文さんを訪ねて、原稿執筆を頼んだことがある。その前には公文さんの同級生に翻訳をしてもらったこともあるし。西さんもグローコムに関係があったのだろうか。オヤジ、生きてるかな?

2009年5月13日水曜日

政権交代

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/536ecb21466eef53c907c3c034b03d02

これ、池田さんに全面賛成。自分のような永久棄権者でも投票したほうがいい、唯一の効果。

http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200705230002o.nwc

これを読むと、佐藤優がいかに多面的な思考ができるかということがわかる。下司な事情を汲むことができるというのは強い。

2009年5月8日金曜日

ベスト映画

書籍を整理していたら、映画のパンフレットがいくつか出てきた。映画を観てパンフレットを買うという習慣はすでになくなったが、パンフレットを見ていてこれらはたしかに自分にとってベストの映画の一部だろうな、と思った。

アラビアのロレンス
未来世紀ブラジル
ミッション
エイリアン2
エクスカリバー
風の谷のナウシカ
ベルリン・天使の詩
小さな恋のメロディ
レモ/第1の挑戦

これが全部で、順不同。

象と鯨


福岡ハカセは、故ライアル・ワトソンの近著を翻訳出版するらしいが、それはちょっとニューサイエンスぽくっていただけない感じがする。だって、ライアル・ワトソンの生き残り象は、同じく水中哺乳類最大の鯨に会いに行って、超低周波の「会話」を交わすのだから。

その「寓話」が成立するのは、著者も説明抜きに掲載しているように、伊藤若冲の鳥獣画のような空想的文脈において、だろう。

2009年5月7日木曜日

記憶の所在



本書の記憶の所在に関する文章を読んでいて、我が身の不明を恥じた。高校時代、小林秀雄の孫引きでベルグソンの『物質と記憶』を知り、訳知り顔で記憶が脳の特定の部分に帰属しないことを説いていた自分を想い出し、その後それ以上の教養を深めなかったことに大いに恥じた。

動的平衡状態にある生命の一部として、脳もまた分子レベルでの動的平衡状態にある。したがって、記憶は静的に特定の分子に固定されているのではなく、流れのなかにあり、シナプスの電子的情報が分子間でコピーを繰り返されるような状態にある。

ベルグソンの記憶仮説が間違っていたことを知るのだが、いっぽうで福岡ハカセのデカルト批判が導くのはベルグソン的な境地だったりするのは非常におもしろい。

投資戦略 - 2009年5月7日

これから折に触れ、その時々の投資戦略を記しておき、反省材料としたい。後悔することばかり多き人生ゆえ。

今日の日経平均の終値は、
9,385.70。今日は、400円以上上がった。米ドルは今の時点で、99.180。

秋にかけて、日経平均は上向き、米ドルは下がると見たが、どうだろう?

とりあえず、現ポートフォリオを勘案して、日経先物を買い、米ドルをショートしようと思う。

2009年5月3日日曜日